尊厳死とは、一般的に事故や病気で回復の見込みのない状態の患者に対して、「生命維持治療を差し控えまたは中止して、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいう。」と解されています。
もし、自分が回復見込みのない状態で延命治療をほどこされることや、そのような状態で家族に心理的にも経済的にも負担を負わせることに抵抗がある、という方もいらっしゃると思います。
しかし、現実にこのような状態になった時に、何も準備をされていなければ尊厳死の希望をかなえるのは大変難しいでしょう。
仮に植物状態・脳死状態などであれば、本人はもう意思表示をすることもかなわず、尊厳死を本人が望んでいたことを家族が医師に伝えても、医師としても法的責任を問われることをおそれるので拒否する可能性が高いでしょう。
では、いろいろ考えた結果、やはり尊厳死を希望する場合はどうしたら良いのでしょうか?
まず、自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、中止する旨等の意志を表明するきちんとした客観的な書類を作成することが必要です。
上記の他に、
尊厳死について家族の同意がある旨
尊厳死を望む理由
医師に対して、民事、刑事責任を負わせないでほしいという希望
本人が撤回しない限り、宣言書の効力が持続する旨
等の記載をした方が良いでしょう。
この宣言書の内容の真意や、本当に本人が作成したのかが問題になるケースもあるので、あとあと問題になりにくい公正証書で作成することをおすすめいたします。
※治療義務がない過剰な延命治療に当たるか否かは医学的判断によらざるを得ない面があることから、尊厳死宣言公正証書を作成した場合でも、必ず尊厳死が実現するとは限りません。日本尊厳死協会が行った2009年のアンケート調査(回答数829件)では、同協会が保管している「リヴング・ウィル」を提示した場合、93.0%の医師がこれを受容したという結果があります。
行政書士小野事務所
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