寄与分とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の財産の維持や増加に特別に尽くした分のことです。
例えば、
・商店や工場など親の事業を手伝ったり、営業資金を提供した場合
・介護など付きっきりで身の回りの世話や入院時の世話をした場合
に認められることがあります。
このような場合、その寄与した分を相続財産から除き寄与した相続人に与えるものが寄与分となります。
ただし、親族間での扶養義務といった当然になすべき行為は寄与とはなりません。
また、親の事業の手伝いや介護をした際に対価を受け取っていた場合や、贈与されている場合などは寄与分として認められません。
寄与分をどれくらい認めるかは、共同相続人による遺産分割協議で合意を得なければなりません。
ここで注意が必要なのは、これだけ事業に協力したからいくら、これだけ介護をしてきたのだからいくらの寄与分になるという明文化された基準がないことです。
親の事業に資金を提供した場合などであれば金額は明確ですが、介護などは金額を算出するのが難しいので介護をする人が日々の介護の内容を記録し介護に関する支出があればその領収書を保管しておきましょう。
寄与分をめぐって話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停も視野に入れる必要がありますが、介護については寄与分が認められても少額の場合が多いです。
寄与分が認められた場合、実際の金額としては相続財産の1~3割くらいとする例が目立ちます。
このようにみてまいりますと、寄与分は特別受益と同じようにもめやすいと言えます。
あらかじめ寄与分があると分かっている場合は遺言の作成をする、もしくは(両親などに)遺言を作成してもらいましょう!(公正証書遺言がおすすめです。)
遺言を作成することは後のトラブルを予防するうえで大変重要です。
また、以前は長男の嫁などの相続人の配偶者が義理の親を介護しても原則として寄与分はありませんでした。しかし、
相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)2019年7月1日施行
により相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定要件のもとで相続人に対して金銭の支払いを請求できる制度が創設されました。
※この制度は遺産分割の手続きが過度に複雑にならないように、遺産分割は現行法と同様に相続人だけで行うこととしつつ、相続人に対する金銭請求を認めることとしたものです。
この制度は被相続人の子の配偶者(例・長男の嫁)らが貢献分を請求できる権利ですが、この特別寄与料を請求する相手は通常、義理の兄弟らになります。
この際に、揉めないように穏やかに話し合いをすることが必要でしょう。
また、財産の額が少ない場合は受け取れないこともあるでしょうし、特別寄与料が認められた場合でも(当然、相続財産の額や貢献度により異なると思いますが)数百万くらいと思われます。
また、特別寄与料は相続税の対象にもなります。
このようにみて参りますと、やはり義理の両親等がお元気のうちに、遺言書の作成をお願いされた方がのちのちのことを考慮すると良いと思います。
なかなか自分から言い出せないという事もあると思いますが、ご主人(配偶者)などにも協力してもらいできるうちに遺言の作成をしてもらいましょう!
行政書士小野事務所
メールでのお問合せは24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。
〒331-0805
埼玉県さいたま市北区
盆栽町378-2
サニーコート大宮盆栽町703